Bile duct regeneration with an artificial bile duct made of gelatin non-woven fabrics
Tissue Engineering Part A
Y. Uemoto, K. Taura, Y. Tabata, E. Hatano, et al.
https://doi.org/10.1089/ten.TEA.2021.0209
既存の人工胆管では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)のチューブが用いられてきました。素材的には、非分解性のPTFEは長期的には異物となってしまうこと、また生分解性のPLA、PGAは酸性の分解物が炎症を惹起する課題がありました。また構造的には、ストローのような細孔のないチューブだと、細胞が侵入せず組織への置換がおこりにくい問題がありました。
そこで、生分解性のゼラチンで、細胞が内部に入っていきやすい不織布構造のGenocel🄬に目をつけていただきました。
筆頭著者の上本先生からコメント頂戴しました!
「担当者や技術者と意見交換をして、研究により適した材料に改良ができたことで成果を得られました。」
人工胆管の構造
Genocel🄬の技術をもとにしてチューブを作製しました。吻合保持強力をもたせるために、市販のGenocel🄬と比べて繊維密度を3倍にし、圧縮強度を8-9倍としました。ラット用のサイズのため4 mmと短いですが長く作ることも可能です。
細胞遊走の評価方法
in vitroでの細胞遊走は、人工胆管にスフェロイドを接着させ培養し、内部に移動した細胞数で評価しました。市販のGenocel🄬と比べて繊維密度が増えたぶん細孔の量が減り、内部への細胞遊走は少なくなりました。それでも内部での細胞増殖、またコラーゲンの産生が見られ、組織への置換がおこることがわかりました。
この手法は分厚い組織の中での細胞移動を観察できますので、創傷治癒やがん細胞浸潤などを3次元的に再現でき、組織切片といった病理評価をおこなえるモデルに活用できると考えています。
ラット体内での人工胆管の分解
埋植後2週間では人工胆管はおおよそ残っていましたが、6週間でほぼ分解しました。12週間で胆管上皮への置換が行われました。