生体組織の欠損部を修復する手法の一つとして細胞増殖因子などの薬剤が用いられます。一般に、薬剤は生体半減期が短く、また拡散してしまうため、水溶液で投与するのみでは効果は期待できません。
薬剤の活性を維持するには?
✓薬剤をゼラチンなどの基材に保持させ徐放製剤とします。
ゼラチンに塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来増殖因子(PDGF-bb)を吸着させた例が報告されています。
欠損部の修復をさらに促進させるには?
✓足場材との複合利用が効果的です。
活性化された、またはリクルートされた細胞が欠損部で定着しやすくなります。徐放機能を持つ3次元足場材としてゼラチンスポンジがありますが、強度が弱く変形してしまうことが課題です。濡れるとスポンジの穴が潰れてしまい、細胞がスポンジ内部に侵入しにくくなってしまいます。
ゼラチン不織布(Genocel🄬)の構造の特徴
✓繊維がジャングルジムのように積み重なっているため濡れても穴が潰れません。細胞が侵入しやすい構造を維持します。
マウス背部皮下への移植試験
✓bFGFを含浸した各基材を皮下移植したところ、Genocel🄬はより赤みがかった組織となり、基材内部まで血管が侵入したことがわかりました。血管新生をヘモグロビン量で測定したところ、Genocel🄬のヘモグロビン量はゼラチンスポンジの約3倍となりました。
✓マウスの背部皮下のような圧力がかかるところでも基材が構造を維持し、穴が潰れなかったためだと考えています。
徐放試験プロトコルは公開に向けて準備中です。
いち早く知りたい方はnrdc@nikke.co.jpまでお問い合わせください。